【フラッガー】藤本由紀夫(アーティスト)
【時】11月3日(金祝)、4日(土)12:00~18:00
【場】神戸市中央区江戸町100番高砂ビル412号室
【参】参加無料・予約不要

日常、作品を制作しているスタジオをオープンに。

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70年代よりエレクトロニクスを利用したパフォーマンス、インスタレーション、80年代半ばよりサウンド・オブジェの制作を行ってきた藤本由紀夫さん。伺ったお話の中で印象的だったのは現在のような活動を始める前のお話でした。そもそもの始まりは高校時代にラジオで聴いたドイツの音楽家シュトックハウゼンによる電子音楽作品。その頃のレコードは気軽に買えるものではなく、毎週かじりつくようにラジオを聴き、レコード店に赴いては意中のレコードクレジットを眺める日々が続いたそうです。電子音楽に未来を見た藤本さんは、当時最新鋭の電子音楽機器を揃えていた大阪芸術大学に進学します。ここでは具体的な技術よりも音に対する考え方や捉え方といった、表現をする上での本質的な部分を学んだとのことです。また、この時期周りに美術や演劇を志す人たちが多かったことから、音楽にとらわれない活動をしていくきっかけにもなりました。しかし毎日大音量で音を聴き続け疲弊していた事と、電子音楽の未来にポジティブなものを感じとれなかった事から藤本さんは悩みます。そんな時に聴いたのがデビットボウイ、クラフトワーク、セックスピストルズといったアーティストの音楽でした。彼らの音楽に「必要な音」のみ鳴らしている、という共通項を感じたそうです。そしてそれは藤本さんの考えに近いものでした。その後、80年代初頭にノーマルブレイン名義でレコードを発表。当時数百枚しか世に出回らなかった作品ですが、現在でも内外で大変評価の高い作品です。この日も若いスウェーデンの女の子たちのカヴァーヴァージョンを聴かせてもらいました。その後も数時間にわたり藤本さんのスタジオで秘蔵のレコードやCDを聴かせて頂きました。至福のひと時であったのは言うまでもありませんが、面白かったのは流している音楽と藤本さんの作品と思われる音が混じり合い空間を満たしていく時です。あまりにも自然に混ざるもので最初は気づきませんが・・・大きな音が鳴っていても不思議と静か、ゆったりと「音」に耳を傾けられる、そんな印象を藤本さんの制作スタジオに持ちました。このスタジオが11月3日、4日と解放されます。藤本さんの作品に興味のある方はもちろん、音、に興味のある方は一度お越しになることをお勧めします!(ハヤセルポ)